治験とは
治験とは、”薬の候補”が”薬”となるための試験です。
新しい薬が一般的に使われるようになるためには、安全性(副作用の有無や種類、程度など)と有効性(効果の有無や最適な使用方法など)を適正な基準(GCP)に従って確認し、その成績を国(厚生労働省)に提出して十分な審査を受けた後に承認されることが必要です。
そのためには、あらかじめ健康な方や患者さまに実際に使用していただいて、その薬の候補となる物質の安全性と有効性を確認する試験が必要です。
薬の候補となる物質の安全性と有効性を確認するための試験を『治験』と呼び、新しい薬の候補となる物質を『治験薬』と呼びます。 治験には、国(厚生労働省)への申請に必要なデータを得ると同時に、人に対する治験薬の新たな情報を得るという研究的側面があります。 また、すでに承認されている薬でも、薬の量や飲み方、他の病気への応用など、より良い薬の使い方を開発するために治験を行うことがあります。
現在、広く治療に使われている薬はすべて、健康な方や患者さまのご協力のもと生み出されています。
GCPとは
(グッド) (クリニカル) (プラクティス)
Good Clinical Practice とは
治験を実施する際の遵守事項を定めた法律で、日本語では『医薬品の臨床試験の実施の基準』といいます。治験に参加される方の人権と安全性を確保するとともに、治験の科学的な質とデータの信頼性を確保することを目的としています。
GCPは、1997年3月27日に制定され、同年4月1日より実施されています。 治験に関わる医療機関、製薬企業(治験依頼者)など、およびそれらの関係者は、GCPに従うことを求められ、治験の実施にあたり、GCPに違反した場合には法的に罰せられることになります。 なお、GCPはGood Clinical Practiceの頭文字をとったもので、通常、ジー・シー・ピーと呼ばれます。
注)GCPは、臨床試験に関する法律ですが、ここでは便宜上治験としています。
治験と臨床試験
治験は臨床試験の一部です。
臨床試験とは、人での安全性と有効性を確認するための試験全体をいいます。
承認後の薬の安全性や有効性の追跡調査など、試験の目的は新薬の開発に限りません。 治験とは、国(厚生労働省)から薬として承認を受けるために行う試験で、多くは新薬の開発を目的としています。言い換えると、治験は新薬の開発を目的とした臨床試験といえます。
新しいくすりができるまで
数多くの物質の中から、薬の候補となる可能性がある物質を選びます。
選んだ物質の安全性や効果、その他必要な情報を動物での試験で調べます。
調べたものから薬の候補が生まれます。
[治験]第Ⅰ相
少数の健康な男性に協力をお願いします。
薬の候補となる物質の安全性を確認します。
体内でどのように吸収され、変化し、排泄されるか確認します。
第Ⅱ相
少数の患者さまに協力をお願いします。
安全性と有効性を確認し、また、適切な使用方法を検討します。
第Ⅲ相
多数の患者さまに協力をお願いします。
安全性を確認し、また、すでに承認されている薬やプラセボと有効性を比較します。
プラセボとは
プラセボとは、薬の候補となる物質が含まれていない(治療効果のない)見かけ上治験薬そっくりな薬のことです。
治験薬と外見(色・形・大きさなど)、重さ、味覚の点でそっくりに製剤化され、医師も製薬会社の担当者も中身を分析しない限りは判別することはできません。
例として、治験薬のグループとプラセボのグループに分かれた場合に、患者さまや医師の「治験薬だから効くだろう」、「プラセボだからこの薬は全く効かない」といった精神的な要因(思いこみ)の効果をあらかじめなくすために、同じ条件で治験を実施して治療効果を確認するために用いられる手法です。
CRC(シー・アール・シー)
(クリニカル) (リサーチ) (コーディネーター)
Clinical Research Coordinator とは
治験コーディネーターと呼ばれ、治験の進行をサポートするスタッフの職種を指します。
GCP(医薬品の臨床試験の実施の基準)においては、『質の高い治験を倫理的な配慮の下に科学的に適正かつ円滑に進めるため、被験者との調節を行い、治験責任医師等を支援する者』と定義されています。 つまり、治験に参加される方に対して治験の目的や方法、治験薬の安全性や有効性について説明したり、治験に参加される方からの質問や相談に応じたり通院スケジュールを調整したりなど、治験が円滑に行われるように治験に参加される方と治験を実施する医師や関係部署、製薬会社との連絡・調整役を担当します。
なお、CRCはClinical Research Coordinatorの頭文字をとったもので、シー・アール・シーとも呼ばれます。
注)CRCは本来、臨床試験コーディネーターのことですが、ここでは便宜上治験コーディネーターとしています。
相談窓口
相談窓口は治験管理室(兼治験事務局)となっております。
お問い合わせは、0157-24-3115 内線1020または1021までお願い致します。