臨床検査科の紹介
臨床検査とは
臨床検査とは、病気の診断や治療のために欠かせない大切な検査のひとつで、検診による病気の早期発見や予防にも必要な検査です。
臨床検査科の方針
臨床検査科では、高い品質の臨床検査を提供することで、高度で専門的な医療・救急医療を支え、地域の皆さまが安心して住み慣れた地域で生活できるような医療提供体制づくりに貢献するため、ISO15189認定等の検査室認定や認定技師の取得推進など、臨床検査科スタッフ一丸となって臨床検査の品質向上に努めております。今後も、品質方針に沿って質の高い検査サービスの提供を目指して参ります。
人間性に優れ医療活動を通じて地域社会に貢献できる臨床検査技師の育成を目標として、学生の臨地実習や施設見学を広く受付けております。
※ 実習・見学をご希望の方は、【 入職をお考えの方へ 】 をご参照下さい。
【品質方針】
- 高い品質の検査結果を迅速に提供し、救急医療と高度医療に貢献します。
- 医療安全とチーム医療を推進し、患者様を尊重した医療に貢献します。
- 国際規格に基づく品質マネジメントシステムを構築し、高品質な検査サービスを提供します。
- 人間性に優れた人材を育成し、医療活動を通じて地域社会に貢献します。
- 組織全体で品質方針を理解し、国際規格の維持と品質方針達成のため継続的改善に努めます。
ISO15189 認定
臨床検査科は、「ISO15189認定」を取得しています。当院の検査データは、国際基準を満たしていることが認められ、その検査結果は信頼性が高く、国際的に通用します。(画像クリックで拡大)
輸血機能評価認定(I&A)
当院は、「輸血機能評価認定(I&A)」を取得し、適切な輸血管理が行われているかを第三者によって点検され、安全に実施されていると保証されています。(画像クリックで拡大)
精度保証施設認証
日本臨床衛生検査技師会と日本臨床検査標準協議会が認証する「精度保証施設認証」を取得しています。当院の検査データは、標準化され、その精度が十分であることが保証されております。(画像クリックで拡大)
認定技師
各種学会が認定する12種22認定について取得しております。(2023年4月現在)
細胞検査士(4名)/国際細胞検査士(2名)/認定輸血検査技師(2名)/認定血液検査技師(1名)/認定一般検査技師(1名)/NST専門臨床検査技師(2名)/二級臨床検査士[血液学](1名)/認定超音波検査士[消化器](3名)/認定超音波検査士[循環器](2名)/認定超音波検査士[体表臓器](2名)/認定臨床微生物検査技師(1名)/感染制御認定臨床微生物検査技師[ICMT](1名)
各検査の紹介
生化学・免疫血清検査
採取した血液中の成分を調べる検査です。肝機能や腎機能などの生化学検査、感染症や腫瘍マーカーなどの免疫血清検査を実施し、健康状態の把握や病気の診断、治療効果などを推測するのに必要不可欠です。一度に多くの検体を測定し、正確な検査結果を迅速に報告するために、多くの分析装置を使用して検査を実施します。分析装置の精度管理も検査技師の重要な役割です。
血液・凝固検査
血液検査は、血液中の白血球、赤血球、血小板の数や形態を測定する炎症や貧血などの診断に必要な検査です。
凝固検査では、出血した時にしっかり血が止まるか、逆に体内で血栓ができ易くないかを調べる検査です。白血病などの血液疾患の診断、治療にとって重要な検査で、骨髄液を検査する骨髄検査では、検査技師が顕微鏡で悪性細胞を判別します。
一般検査
採取した尿、便、胸水、腹水、関節液、髄液などの検体の成分や出現する細胞を調べることにより、代謝の状態、感染、炎症、悪性細胞など血液では見つけられない体内での異常を発見することができます。なかでも尿検査は採取が容易であり腎臓の病気など多く情報を得ることができるため、健康診断など多くの場面で実施される検査です。
輸血・移植検査
貧血や出血、手術などで輸血を実施する際に、副作用が起きないように検査を実施します。大量出血などの緊急輸血時は、迅速で正確な対応が必要とされる検査です。血液製剤の保管、管理なども安全な輸血を実施するために必要な業務となります。また、自己血輸血の貯血と管理、自家造血幹細胞移植の造血幹細胞の処理、検査、保管管理など移植に関わる業務も行います。
微生物・遺伝子検査
感染症が疑われる患者さまの喀痰、尿、糞便、膿などの検体から原因微生物を検出し、その微生物に対してどのような抗菌薬が効くのかを調べます。一部の微生物、ウイルスに対しては簡易キットを用い、病原体が存在するか否かを検査します。また、感染性が高く危険なウイルスや細菌については、感染拡大防止のため、核酸増幅検査(PCR等)によって、ごく微量な病原体の遺伝子(DNA・RNA)を増幅させ高感度な検査を迅速に実施します。微生物・遺伝子検査室は、院内感染情報の発信源であることから、院内における分離菌情報を正確に把握し、院内感染対策チームの一員として院内感染防止にも取り組んでいます。
病理・細胞検査
病理組織検査では、採取された臓器や組織について標本を作製し、病理医が顕微鏡下において病理診断を行う検査です。また、細胞診検査は、細胞検査士が細胞を観察して悪性細胞の有無を調べます。術中迅速病理診断と術中迅速細胞診断では、手術中に摘出した組織や細胞を迅速に診断することで、より適切な手術範囲や手術方法を決定することができます。病理解剖(剖検)では、ご遺族の了承のもと不幸にして亡くなられた患者さまのご遺体を病理学的に検証します。剖検で得られた貴重な医学データは医療の進歩に大きく貢献します。
生理検査
さまざまな医療機器を使用して、からだの状態を直接調べる検査です。心電図検査、血圧脈波検査、呼吸機能検査、脳波検査、聴力検査、PSG検査などの検査を行っています。正しい結果を得るために、患者さまのご協力が必要な場合があります。
超音波検査
超音波装置を用いて、プローブから高い周波数の音波をからだに当てて検査をします。からだに検査用ゼリーを塗る必要がある検査で、痛みや被ばくがない安全な検査です。当院では、心臓・腹部・胎児・乳腺・甲状腺・下肢・頸動脈・関節・腎ドップラーなど多くの領域の超音波検査を臨床検査技師が実施しております。
検査をお受けになる患者さんへ
患者さんが安全に検査をお受けになるため、また、正しい検査結果によって、正しい診断と治療をお受けになるために、それぞれの検査についての注意事項をお読みになり、ご理解とご協力をお願いいたします。
ご本人確認について
ご本人確認は医療安全の基本です。
検査の前に、ご本人にフルネームと生年月日を言っていただきます。何度もお聞きするので、ご面倒に感じると思いますが、ご協力をお願いいたします。
採血(血液検査)をお受けになる患者さんへ
医療機関で採血を禁止されている部位がある方、これまで採血で気分が悪くなったことがある方、アルコール消毒によるアレルギーがある方、その他に採血にあたりご不安のある方は、採血室の臨床検査技師にお伝え下さい。
車椅子でお越しの方は、車椅子のままで採血いたしますので、受付スタッフにお伝え下さい。
採血による合併症について
採血は基本的に安全性の高い手技のため、合併症の発生頻度はごく少なく、軽症なものが多いとされています。
しかし、稀に以下のような合併症が起きることがあります。
■【 強い痛み・しびれ 】
針を刺した際に、手指に痛みやしびれが出ることがあります。
頻度は 約1万~10万 回に1回ときわめて稀で、一時的なものとされています。
このような症状が出た場合は、すぐに穿刺を中止致しますのでお申し出ください。
■【 止血困難・皮下出血 】
抜針後の不十分な止血操作が主な原因です。皮下出血が起きた場合でも、多くは1週間程度で自然治癒します。抜針後はしっかりと圧迫止血をお願いします。血液が止まりづらい方やご自身で圧迫止血が難しい方はお申し出ください。
■【 めまい・意識消失・気分の不快感 】
針を刺した際に一時的に血圧が下がることで、めまいや意識消失等が起きることがあります。
心理的に緊張や不安が強いと起こりやすいとされています。ご心配な方は事前にお申し出ください。
採尿(尿検査)をお受けになる患者さんへ
特に指示がない時は、中間尿(最初と最後の尿を尿カップに入れない尿)を尿カップに入れて下さい。尿量は、尿カップの1/3ぐらい必要です。少ない場合は、提出窓口から検査スタッフに尿量をご確認下さい。
ご都合により、自宅で採尿した尿を持参する場合は、採尿後できるだけ早く提出下さい。
採尿がむずかしい場合(生理の時期など)は、受付スタッフにお申し出下さい。
超音波検査(エコー)をお受けになる患者さんへ
■腹部エコー / 腎動脈エコー
下記の時間より、食事、水以外の飲み物は禁止となります。
【 午前に検査 ⇒ 前日21時以降 / 午後に検査 ⇒ 当日8時以降 】
※ 食事をされた場合は、検査ができません。
■甲状腺エコー / 頸動脈エコー
首付近を検査しますので、首元を広く開けることができる服装でお越し下さい。
■下肢血管エコー
足の付け根から足先まで検査しますので、ズボンなどは脱いでいただきます。
脱ぎやすい服装でお越し下さい。
※ 「エコー検査」「心電図検査」 をお受けになる患者さんで、女性技師を希望される方は、受付スタッフにお申し出下さい。
臨床検査を終了した検体の業務、教育、研究のための使用について
医療従事者の教育、臨床検査の精度向上のため、検査後の残余検体を匿名化して再利用することにご協力お願いいたします。
詳しい内容につきましては、【こちら】をご参照下さい。
当科の職場環境
臨床検査科は、大きく分けて検体検査部門、輸血検査部門、生理検査部門、超音波検査部門、病理検査部門、道立病院検査部門から構成されています。部門間の垣根は無く、担当部門を超えて全てのスタッフが助け合って業務にあたっており、幅広い分野の基礎知識を習得できる環境となっています。
臨床検査技師として基本となる知識・技術を習得後は、本人の希望と適正を見極めて、一人ひとりがやりがいを持って働ける分野でスペシャリストを目指せる体制となっています。
臨床検査科では、若いスタッフが、元気で・仲良く・楽しく 働ける職場環境をつくることを第一に考え、スタッフ一同で職場環境の整備に取り組んでいます。一緒に、より良い検査室をつくって行きましょう!!
当科の教育方針/目標とする臨床検査技師像
■ 人間性に優れ、医療人として自覚と責任をもった信頼される臨床検査技師を育成する。
施設見学・Web見学・質問
臨床検査科では、学生の臨地実習や施設見学を広く受付けております。短時間の見学も歓迎致します。
Web見学をはじめました!! Zoomを利用して、ご質問への回答や、検査室内のご希望の設備をオンラインで見学して頂けます。ぜひ遠方の方もお気軽にお申込み下さい。
また、電話での質問にも対応致しますので、お気軽にご相談ください。(代表 0157-24-3115:担当 検査技師長)
新人技師教育プログラム
教育項目 | 教育方法(目標・目的) | |
1年目 | ■各分野の基本知識・技術習得(生化学・免疫血清検査/血液形態・一般検査/微生物・遺伝子検査/輸血検査/生理検査/画像検査/病理・細胞検査/道立病院検査) ■採血業務(外来採血/病棟採血) ■配属された担当部門検査業務 ■当直・日直業務 ■ISO15189の基本的知識 ■ 災害・救護医療の基礎知識 ■ 医療安全・感染対策の基礎知識 | ■各分野技師によるOJTを活用した個別指導 ■当院の技師採血は25年以上の実績 豊富な経験と高い技術で個別指導 ■明確な計画、評価基準に沿って教育 ■当直・日直業務は先輩技師に付いて習得 習得後も24hオンコールサポート体制 ■ISO15189内部監査、JAB審査の見学 ■赤十字Basic Life Supporter(一次救命法)資格取得 ■院内研修会の参加、科内実技研修 |
2-3年目 | ■エコー検査業務の習得(3年間のうち1年) ■担当部門の異動(本人の希望を確認のうえ) ■ISO15189業務 ■災害・救護医療業務(希望者) ■チーム医療 ■研究発表(年1回、科内で研究発表会開催) | ■認定取得技師によるOJTを活用した個別指導 ■異動によって幅広い視野と知識を養う ■ISO15189内部監査員資格取得 ■赤十字救護班、DMATに推薦(希望者) ■研修会・見学によって検査技師の役割を学ぶ ■先輩技師サポート |
3年目以降 | ■本人の希望を確認し、適正を見極めて、専門性を深めていきます。 |
※ 年1回、技師長面談と業務に対するアンケートを実施して新人技師の意見を組織の改善に繋げています。
※ 毎月、新人技師の教育のため科内で研修会を企画開催しています。